「中小企業省力化投資補助金」は人手不足に悩む中小企業が、省力化を行うためにIoTやロボットなどのデジタル技術を導入するための補助金です。
中小企業省力化投資補助金は「一般型」と「カタログ注文型」の2つの申請類型が用意されています。
本記事では“補助金を活用してみたい!”という事業者に向けて、「一般型」と「カタログ注文型」の違いを解説します。それぞれの違いを理解して補助金を活用しましょう。
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中小企業省力化投資補助金の一般型とカタログ型の制度の違い
省力化設備への投資を支援する補助金
類型の違いを解説する前に、まず、中小企業省力化投資補助金は何かを確認しておきましょう。
中小企業省力化投資補助金は、人手不足という課題を抱える中小企業が、省力化設備を導入することを応援する補助金です。省力化に資する設備を導入する際、費用の一部を補助してもらうことができます。
一般型は組み合わせができる
中小企業省力化補助金の一般型は、自社の状況に合わせて設備・機器を組み合わせたり、新たにシステムを構築したりする場合に活用ができる類型です。導入する設備や機器等に指定はなく、自社に合わせて自由に組み合わせができます。
例えば、製造業者が手作業の工程を省力化するために製造機器と不良品検知システムを導入する内容や宿泊業がフロント業務を省力化するために自動チェックイン機と予約管理システムを導入する内容などが考えられます。
補助額と補助率は従業員数によって異なりますが、補助上限額は最大で1億円と大きな投資が可能です。

カタログ注文型は汎用製品を導入できる
中小企業省力化補助金のカタログ注文型は、あらかじめカタログに登録されている省力化に資する汎用製品を購入する場合に活用できる類型です。カタログには製品のカテゴリーごとに、登録されている具体的な製品が掲載されています。カタログに掲載されている製品は審査を受けて省力化に資することが認められている製品であるため、事業者はカタログの中から、自社の状況に合わせて製品を選んで申請をします。
一般型と比較すると決められた製品を購入するので自由度は低いですが、即効性のある省力化への投資が可能です。
例えば、飲食業者が配膳作業の省力化のためにカタログに掲載されている配膳ロボットを導入する内容や、自動車整備業者が溶接作業の効率化のためにカタログに掲載されている自動車向け溶接機を導入する内容などが考えられます。
補助額は従業員数によって異なりますが、補助上限額は最大で1,500万円と少額な投資計画も可能です。補助率は従業員数に関わらず1/2です。

一般型とカタログ注文型の比較表
一般型とカタログ注文型は申請できる内容や申請要件、申請期間等異なる部分が多くあります。

特の注目すべき内容は①補助対象経費と②申請期間、③賃上げ要件の有無の3つです。
①補助対象経費
補助対象経費は、カタログ注文型では製品の本体価格と初期設定などに係る導入経費のみが対象です。一方で、一般型は自社の状況に合わせて設備・機器・システム等を組み合わせることを前提にしているため、専用設備の設計の一部を外注する費用やSIerのような専門家から助言を受ける費用も対象になります。このような違いがあるため、補助上限額も各類型で大きく差が設けられています。
②申請期間
申請期間に関しては、一般型は他の補助金制度同様に「公募回制」として公募期間を設けてその都度採択者を決めているのに対し、カタログ型が随時公募可能です。購入したい機器・設備が決まれば、申請書類がそろった段階で公募期間に関係なく申請ができるので、カタログ注文型の方が申請ハードルは低いでしょう。
③賃金上げ要件
賃金上げ要件に関しては、一般型は必須要件であるのに対し、カタログ注文型は必須要件になっていません。カタログ注文型では一定の賃上げ要件を達成することで補助上限額を引き上げることができます。
一般型は補助上限額が大きい分、求められる要件のハードルが高く設定されています。

中小企業省力化投資補助金の一般型とカタログ型の公募結果の違い
中小企業省力化投資補助金の補助金申請額
中小企業省力化補助金は一般型とカタログ注文型のいずれも、これまでの公募結果(採択結果)が公表されています。その中では採択・交付決定事業者における補助金申請額のボリュームゾーンや業種が掲載されています。

一般型の場合、採択事業者における補助金申請額のボリュームゾーンは500万円~3,000万円ですが、その中でも1,500万円以上~1,750万円未満の申請が最も多いようです。一般型では、中小企業・小規模事業者に関係なく、1,500万円を超える部分の金額は補助率が1/3となり、申請事業者の負担分が多くなります。そのため、1,500万円前後での申請が多いということが考えられます。
一方でカタログ注文型の場合、交付決定事業者における補助金申請額のボリュームゾーンは50万円~200万円で、50万円以上~100万円未満の申請が最も多いようです。
カタログ注文型は補助上限額が最大でも1,500万円であり、この最大額を申請するには従業員が21人以上であることに加えて任意要件である賃上げ要件を満たす必要があります。そのため、従業員数が少ない事業者や賃上げ要件を利用しない事業者は比較的少ない金額での申請を行っているということが考えられます。 一般型とカタログ注文型では補助金申請額に大きな差があるため、どちらの類型で申請をするか検討する重要なポイントになるでしょう。
中小企業省力化投資補助金の採択率
中小企業省力化補助金の一般型は令和7年9月までに3回の公募が行われています。そして、第1回公募と第2回公募については採択結果が公表されています。第1回公募の採択率は約66%、第2回公募は約61%といずれも60%以上の高水準でした。

一方で、カタログ注文型は令和6年6月から令和7年8月までの累計申請件数と交付決定件数(採択件数)が公表されており、申請件数は約1,700件、交付決定件数は約1,200件でした。採択率としては約70%です。一般型とカタログ注文型で比較すると、大きく差はないですが、カタログ注文型が少し採択率が高いようです。
なお、中小企業庁で公募している他の補助金は採択率が40%~50%程度のものが多いので、中小企業省力化補助金の一般型・カタログ注文型いずれも高水準の採択率であると言えます。
省力化機器の導入を検討している事業者にとってはまさに狙い目の補助金でしょう。
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中小企業省力化投資補助金の一般型第4回公募中公募締め切りは令和7年11月下旬(予定)
中小企業省力化補助金のカタログ注文型は随時公募しているため、いつでも申請が可能ですが、一般型は公募期間が決まっています。直近の公募は第4回公募で、現在公募中です。申請受付の開始は令和7年11月上旬、公募締め切りは令和7年11月下旬が予定されています。
申請を検討している方は早めの申請準備をお勧めします。
まとめ
中小企業省力化投資補助金の一般型とカタログ注文型では、補助額や補助対象経費、申請期間、賃上げ要件の有無等様々な違いがあります。補助金の活用を検討する際には、投資内容に合わせて適切な類型を選択しましょう。
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