「当社の契約社員が育児休業を申請してきたけれど、取得できるのだろうか?」「新しく契約社員を採用する予定だが、育休はどう扱えばいいのか?」そんな疑問を持つ経営者や人事担当者は少なくありません。
今回は、契約社員の育児休業取得の可否や条件、会社としての対応ポイントについて詳しく解説します。
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育児休業(育休)は契約社員も取得できます
育児休業(以下、育休)は、原則として1歳未満の子を持つ労働者が仕事と育児を両立するために取得できる休業制度です。この制度は「育児・介護休業法」によって定められており、正社員だけでなく、契約社員やパートタイマーなどの有期雇用者も一定の要件を満たせば取得可能です。
例外として、日雇い労働者は対象外とされていますが、それ以外の雇用形態で働く労働者は、原則として育休の対象に含まれます。つまり、「契約社員だから育休は取れない」というルールはありません。
契約社員が育児休業を取得する場合の条件
育児休業制度の目的は、労働者が子どもの養育に専念しながらも職場復帰できるよう支援することにあります。そのため、この休業制度は「休業後も雇用が継続する」ことが前提です。
一般的に契約社員の場合、雇用期間の定めがあるため、育休の申出時点で、子が1歳6か月に達する日までに労働契約が終了し、更新されないことが明らかな場合には、育休を取得することはできません。
たとえば、雇用契約書に契約を更新しない旨が記載されており、育休申請時に残りの契約期間が1年6か月未満のケースでは、原則として育休を取得することができません。
また、労使協定で「一定の労働者は育休の対象外とする」と定めている場合、その範囲に該当すれば取得できないこともあります。次にその点を見ていきましょう。
契約社員が労使協定で定められた労働者に該当する場合
育児休業は、労働者に認められた法的権利であり、基本的には会社が「拒否」することはできません。しかし、会社が労使協定を締結している場合、その協定により一定の労働者を育休の対象外とすることができます。
対象外とされる労働者の範囲は、以下のように定められています。
- 継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
- 「育児休業をすることができないとすることについて合理的な理由」があると認められる労働者
ここでいう「合理的な理由」とは、具体的に次のような場合を指します。
- 育休申出の日から1年以内(1歳6か月または2歳までの育休を申請する場合は6か月以内)に、雇用関係が終了することが明らかな労働者
- 週の所定労働日数が2日以下の労働者
このように、会社として労使協定を結んでいる場合には、契約社員であっても対象外とすることができますが、その範囲を明確に文書で定めておくことが重要です。
契約社員が育児休業を取得する際の注意点
契約社員の育休取得にあたっては、会社・本人双方でいくつかの注意点があります。
まず、契約更新の見込みを明確にしておくことです。更新が不透明なまま育休に入ると、途中で契約が切れてしまい、休業給付金の支給が受けられなくなる恐れがあります。そのため、申出時点で「育休期間中およびその後も雇用を継続する意思」があるかどうかを確認することが大切です。
次に、雇用契約書や就業規則の整備です。契約社員にも育休制度を適用する場合、その旨を明文化しておくことでトラブルを防止できます。特に、労使協定で除外範囲を設定する際は、根拠となる条文や合理性を十分に検討しなければなりません
さらに、育休中の代替要員の確保や復職支援の計画も重要です。契約社員であっても、復職後にスムーズに職場へ戻れるよう、業務の引き継ぎやサポート体制を整えておきましょう。
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まとめ
契約社員であっても、一定の条件を満たせば育児休業を取得することができます。育休の取得可否は「契約期間の満了時期」や「更新の有無」、そして「労使協定の内容」によって異なります。制度を正しく理解し、事前に雇用条件を整備しておくことが、会社・従業員双方にとっての安心につながります。
育児休業制度を契約社員にも開放することは、企業の社会的信頼を高め、持続的な人材確保にも寄与します。人事担当者や経営者の方は、ぜひこの機会に自社の制度を見直し、誰もが安心して働ける環境づくりを進めてみてください。

