令和8年度の厚生労働省予算案において、「人材開発支援助成金」に新たに「設備投資助成」が設けられる予定です。
この制度は、従業員への訓練だけでなく、訓練後の設備投資や賃上げを行う企業を支援する仕組みとして注目されています。
「設備投資も助成対象になるのか」「どのような企業が対象になるのか」など、制度の内容が気になっている企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、令和8年度に新設予定の「設備投資助成」について、現時点で公表されている情報をもとに、制度の概要や主な要件をわかりやすく解説します。
人材開発支援助成金とは?制度の概要
人材開発支援助成金とは、企業が従業員に対して職業訓練を実施した場合に、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。
企業が製品やサービスの質を高め、生産性を向上させていくためには、従業員一人ひとりの能力向上が欠かせません。そのためには、「どのような能力を身につけてほしいのか」「いつまでにどのレベルに到達してほしいのか」といった目標を定め、計画的に人材育成を進めることが重要です。
人材開発支援助成金は、このような計画的な人材育成に取り組む企業を支援する制度として設けられています。こうした取り組みは、従業員のスキル向上だけでなく、企業の生産性向上や人材定着にもつながるとされています。
このように人材開発支援助成金は、単に訓練費用を補助する制度ではなく、企業の人材育成と成長を支援する制度といえます。
人材開発支援助成金に新設予定の「設備投資助成」とは?
令和8年度の予算案では、人材開発支援助成金の中に「設備投資助成」が新設される予定です。
これは、次のような取り組みを行う企業を支援する制度です。
- 従業員に対して訓練を実施する
- 訓練で習得した知識や技能を活用するための設備を導入する
- 訓練を受けた従業員の賃金を引き上げる
つまり、人材育成・設備投資・賃上げを組み合わせた取り組みを後押しする制度です。
参考:厚生労働省HP 「令和8年度概算要求の概要 令和7年8月 人材開発統括官」P12(PDF資料)
設備投資助成の主な要件(現時点)
現時点で公表されている主な要件は次のとおりです。

賃上げ要件
以下のいずれかを満たす必要があります。
・訓練修了後、訓練受講者の賃金が5%以上上昇している
または
・資格手当などを就業規則に規定し、訓練修了後に支給したうえで、賃金が3%以上上昇している
対象企業
中小企業のみが対象となる予定です。
助成額
訓練で習得した技能を活用するための機器や設備の購入費用について、次の内容が助成される予定です。
・設備投資費用の50%
・最大150万円(受講者数に応じて上限設定)
対象となる訓練の例
現時点では、設備投資助成は「事業展開等リスキリング支援コース」の要件を満たす訓練と連動する制度とされています。例えば、次のようなケースが想定されています。
例:品質管理体制の強化を目指す企業の場合
・機械加工を担当している従業員を品質管理部門へ配置転換する計画を立てる
・品質管理や検査に関する知識を習得するための訓練を実施する
このように、企業の経営戦略や人材育成計画に基づいた訓練が対象となります。
こうした訓練と「設備投資助成」を組み合わせて活用することが可能となる予定です。
参考:厚生労働省HP 「令和8年度概算要求の概要 令和7年8月 人材開発統括官」P12(PDF資料)
人材開発支援助成金を利用する際の注意点
令和8年3月2日の制度改正により、人材開発支援助成金では対象訓練の拡充などが行われていますが、電子申請の受付は現在準備中となっています。
そのため、拡充された制度を利用する場合は、厚生労働省ホームページから申請書類をダウンロードし、労働局へ提出または郵送で申請する必要があります。
また、人材開発支援助成金の「設備投資助成」は予算案段階の制度であり、今後内容や要件などが変更される可能性があります。
まとめ
令和8年度「人材開発支援助成金」に新設予定の設備投資助成は、人材育成と設備投資、そして賃上げを同時に進める企業を支援する制度として注目されています。
特に中小企業にとっては、従業員のスキル向上と生産性向上を同時に実現するための有効な制度となる可能性があります。
今後、設備投資助成についての詳細が公表されていくと思われますため、最新情報を確認しながら活用を検討していくことが大切です。
制度の活用を検討する場合は、最新情報を確認しながら、社会保険労務士など専門家へ相談することも一つの方法です。

