キャリアアップ助成金は個人事業主ももらえる?

就業規則の届出方法や必要書類をわかりやすく解説

「キャリアアップ助成金」と聞くと、「個人事業主でももらえるの?」「大企業向けの難しい制度では?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

結論から言えば、キャリアアップ助成金は法人だけでなく個人事業主も対象で、従業員を雇用していれば受給することが可能です。

ただし注意が必要なのは、キャリアアップ助成金は事業主個人の収入を増やすための制度ではないという点です。あくまで従業員の雇用環境を改善する取り組みに対して支給されるため、従業員を雇っていない一人親方や、役員だけの家族経営では対象外となります。

本記事では、中小企業の経営者や人事担当者の皆さまに向けて、キャリアアップ助成金をどのように活用できるかを、手続き経験が少ない方にもわかりやすく解説していきます。

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目次

キャリアアップ助成金とは? 

キャリアアップ助成金は、非正規雇用の労働者(有期契約・パートアルバイトなど)を正社員に登用したり、処遇改善を行ったりするなど、雇用の安定につながる取り組みを行った事業主に対して支給される助成金です。キャリアアップ助成金には、対象労働者や取り組み内容に応じて7つのコースが用意されており、各コースに定められた要件を満たすことで受給することができます。

主な7つのコースは以下のとおりです。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース
  • 賃金規定等共通化コース
  • 賞与・退職金制度導入コース
  • 社会保険適用時処遇改善コース
  • 時間労働者労働時間延長支援コース

助成金は「返済不要のお金」であり、融資や借入金とは異なります。必要な受給要件を満たし、所定の手続きを行えば受給できるため、企業にとっては非常に有効な制度です。人材の定着や組織力強化につながるだけでなく、人件費の一部を助成金で補えるというメリットがあります。

キャリアアップ助成金は「誰が」もらえる?

キャリアアップ助成金の対象となるのは、従業員を雇用している事業主です。法人格の有無は問われないため、株式会社や合同会社などの法人だけでなく、個人事業主も対象となります。

中小企業はココをチェック!

キャリアアップ助成金では、中小企業事業主には加算措置があり、大企業よりも有利に受給できる仕組みになっています。中小企業に該当するかどうかは、「資本金(または出資総額)」と「従業員数」の基準によって判断されます。いずれかが基準を満たしていれば中小企業とされ、判定は事業場単位ではなく企業全体で行われます。

自社が中小企業に該当するかどうかを確認しておくと安心です。

参考:厚生労働省HP 「キャリアアップ助成金」 キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)(パンフレット) 001512871.pdf

【結論】個人事業主がキャリアアップ助成金をもらうためのチェックリスト

本題である「個人事業主もキャリアアップ助成金をもらえるのか?」という点について、改めて結論をお伝えします。

はい、条件を満たせば個人事業主でもキャリアアップ助成金は受給できます。

ただし、個人事業主を含むすべての事業主がキャリアアップ助成金を申請するためには、共通の条件を満たしている必要があります。これらの条件をクリアしてはじめて、助成金の申請が可能となります。

【全コース共通の主な要件】

  • 雇用保険の適用事業所であること
    助成金の対象となるのは、雇用保険に加入している事業所に限られます。
  • キャリアアップ管理者を配置していること
    事業所ごとに、キャリアアップの取り組みを管理・推進する担当者(キャリアアップ管理者)を置く必要があります。
  • キャリアアップ計画の作成と提出
    対象となる労働者ごとにキャリアアップ計画を作成し、コース実施日の前日までに管轄労働局長に提出しておく必要があります。
  • 労働条件・賃金関連の書類を整備していること
    就業規則、労働契約書、賃金台帳など、労働条件や賃金支払い状況を確認できる書類を適切に整備しておく必要があります。
  • 計画に基づいた実施を行っていること
    キャリアアップ計画に沿って取り組みを実行し、その結果を確認できる書類が整っていることが求められます。

【遵守すべき事項】

上記の条件に加えて、助成金の受給には労働基準法や社会保険関連法令を遵守していることが前提です。法令違反がある場合や、計画と異なる取り組みを行った場合は、助成金の支給対象外となることがあります。

【重要注意点】家族経営や一人親方は対象外

キャリアアップ助成金は「事業主自身の収入アップ」を目的とした制度ではなく、「従業員の雇用環境を改善するための支援制度」です。

そのため、従業員を雇用していない一人親方や、家族のみで経営している事業形態の場合は対象外となります。個人事業主様の場合は、「労働者を雇っており、その従業員のために助成金を活用する」という視点が重要です。

参考:厚生労働省HP 「キャリアアップ助成金」 キャリアアップ助成金のご案内(令和7年度版)(パンフレット) 001512871.pdf

助成金申請で個人事業主が注意すべきポイント

キャリアアップ助成金は、従業員のキャリア形成を支援できる魅力的な制度ですが、申請手続きには特有の難しさがあります。特に個人事業主様の場合、総務や人事の専任担当者がいないケースが多く、次のような点に注意が必要です。

  • 書類作成の手間
    助成金の申請には、就業規則・労働条件通知書・賃金台帳など、多くの書類が必要です。形式的な不備があると受給できない場合もあるため、正確な書類整備が欠かせません。
  • 手続きの流れ
    キャリアアップ助成金は「取り組みの前に計画届を提出」し、「実施後に支給申請を行う」という流れを守る必要があります。順序を誤ると、取り組み自体が助成金の対象外となるため注意が必要です。
  • 不正受給のリスク
    虚偽の書類や実態と異なる申請を行った場合、助成金の返還命令や企業名の公表といった厳しい措置が取られることがあります。制度を正しく理解し、誠実な申請を行うことが大切です。
  • 制度改正への対応
    キャリアアップ助成金は、ほぼ毎年のように制度改正が行われています。古い情報のまま準備を進めてしまうと、「要件を満たしていなかった」「対象外だった」となるケースもあります。申請前に、最新の支給要領や厚生労働省の情報を必ず確認しましょう。

【失敗を防ぐ】社労士に相談する3つのメリット

キャリアアップ助成金は、中小企業の人材定着労働環境改善に直結する有効な支援制度です。

しかし、助成金の手続きは複雑で、専門知識がないと途中でつまずいたり、せっかくの取り組みが不支給になってしまったりということもあります。そんなときに頼りになるのが、助成金申請の専門家である社会保険労務士(社労士)です。

社労士に相談することで、次のようなメリットが得られます。

  • 複雑な要件・書類作成をすべて代行
    専門家が計画書や申請書を正確に作成・提出するため、事業主は本業に集中できます。
  • 失敗リスクを最小限に抑えられる
    計画書の不備や提出期限の遅れなど、ありがちなミスを防ぎ、スムーズに受給まで進められます。
  • 他の助成金や最新情報も入手できる
    キャリアアップ助成金だけでなく、自社に活用できる別の助成金や、法改正への対応方法などもアドバイスしてもらえます。

このように、社労士に相談することで、助成金の申請を“確実かつ効率的”に進めることができます。初めて申請を検討する個人事業主の方こそ、専門家のサポートを受けることで安心して取り組めるでしょう。

まとめ

キャリアアップ助成金は、「個人事業主には関係ない」と思われがちですが、実際には従業員を雇用し、適切な労務管理を行っている事業主であれば活用できる制度です。

キャリアアップ助成金を活用することで、人材の定着率向上や職場環境の改善、さらには経営の安定にも大きく寄与します。申請の流れや書類作成に不安を感じる場合は、ぜひ社労士にご相談ください。私たち社労士が、申請から運用まで一貫してサポートし、貴社の成長と持続的な発展をしっかりとバックアップいたします。

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