「優秀な人材を確保したい」「従業員のモチベーションをもっと高めたい」など、多くの中小企業にとって、人材に関する課題は常に経営の重要テーマです。しかし、限られた予算の中で、効果的な人材投資を行うのは容易ではありません。
そこで、ぜひご活用いただきたいのが「キャリアアップ助成金」です。
キャリアアップ助成金は、非正規雇用の従業員の正社員化や処遇改善といった、企業の成長に直結する取り組みを国が支援してくれる画期的な制度です。上手に活用すれば、1人あたり最大60万円以上の支給が受けられることもあり、多くの中小企業にとって魅力的な制度となっています。しかも、支給されたお金は返済の必要がありません。
ただし、申請には複数のステップがあり、特に「支給申請書」の作成や提出でつまずくケースが少なくありません。「どのタイミングで提出するの?」「何をどう書けばいいの?」といった不安から、申請を諦めてしまう中小企業様も少なくありません。
そこで今回は、初めて助成金を申請する方でも安心して取り組めるよう、キャリアアップ助成金の支給申請書の書き方をわかりやすく解説します。申請の流れから書類の記入ポイント、よくあるミスまで、実務に役立つ内容をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
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キャリアアップ助成金の種類
キャリアアップ助成金にはいくつかの種類(コース)があり、それぞれ目的や支給要件が異なります。
ここでは、中小企業で活用されやすい主な5つのコースについて、内容・支給額の目安・おすすめの活用ケースを一覧でご紹介します。
「自社ではどのコースが活用できそうか?」をイメージしながらご覧ください。
キャリアアップ助成金・支給申請書の書き方、ここがポイント!
キャリアアップ助成金を申請する際に提出が必要となるのが「支給申請書」です。この書類は、助成対象となる取り組みを終えたあとに提出する、いわば実績の報告書のような役割を果たします。
しかし、実際の様式を見ると「どこに何を書くのか」「どう記入すればいいのか」と迷ってしまう方も多いかもしれません。ここでは、実際の申請書様式の画像をもとに、記入時に注意すべきポイントを一覧で整理しました。
キャリアアップ助成金支給申請書(様式第3号) 記入ポイント解説
【記入項目:事業所情報等】
キャリアアップ助成金支給申請書(別添様式1-1)正社員化コース内訳の記入ポイント解説
別添様式1-1では、正社員化の実施内容に関する詳細を記入します。
記載内容に不備があると、申請が受理されなかったり支給が遅れたりする可能性がありますので、それぞれの項目ごとに注意点を確認しながら記入しましょう。
キャリアアップ助成金支給申請書(別添様式1-2)正社員化コース対象労働者の詳細、記入ポイント解説
キャリアアップ助成金支給申請書(別添様式3)賃金規定等改定コース内訳の記入ポイント解説
この様式では、賃金規定等の改定に関する内容を記入します。改定の根拠となる規定の作成日や、対象労働者の昇給内容を明確に記載する必要があります。
以下のポイントを参考に、漏れや記入ミスがないようにしましょう。
キャリアアップ助成金支給申請書(別添様式4)賃金規定等共通化コース内訳の記入ポイント解説
この様式では、正規雇用労働者と有期雇用労働者の間で賃金規定等を共通化した取り組み内容を記入します。対象労働者の範囲や、共通化後の賃金支給実績など、確認すべきポイントが多いため、下記の内容に沿って正確に記入しましょう。
キャリアアップ助成金支給申請書(別添様式5)賞与・退職金制度導入コース内訳 記入ポイント解説
この様式では、パートや契約社員などの非正規雇用労働者向けに賞与または退職金制度を導入した内容について記入します。導入日や初回の支給・積立て日、制度の要件など、正確に記入する必要があります。
キャリアアップ助成金支給申請書(別添様式6)社会保険適用時処遇改善コース内訳 記入ポイント解説
「社会保険適用時処遇改善コース」の支給申請書には、取り組むメニュー(手当等支給メニュー・併用メニュー・労働時間延長メニュー)に応じて、それぞれ専用の様式があります。申請の際は、自社が取り組んだメニューに対応した様式を使用しましょう。
なお、各様式の基本構成は大部分が共通しています。注意すべきポイントに絞って、表にまとめてご紹介します。具体的な様式の見本とあわせて、記入ミスを防ぐ参考にしてください。
各コースの申請様式は、それぞれに記入ポイントや注意点がありますが、基本の流れや考え方は共通しています。必要な項目を正確に記載し、記入漏れや誤りがないようにすることが、申請成功の第一歩です。
参照:厚生労働省HP 「キャリアアップ助成金」申請様式ダウンロード
申請様式(キャリアアップ助成金)(令和7年7月1日以降の取組に係る様式)|厚生労働省
支給申請書の作成でつまずきやすいポイントと申請NG例
キャリアアップ助成金の申請は、必要な様式に沿って正しく記入すれば、基本的には受給できる制度です。しかし実際の現場では、些細なミスや準備不足が原因で「不支給」となるケースが少なくありません。
ここでは、申請時によくみられる「つまずきポイント」や「申請NG例」をまとめています。事前に確認しておくことで、無駄な手戻りやリスクを避け、スムーズな申請につなげることができます。
キャリアアップ助成金の申請では、申請書の記入・添付書類の準備・提出期限の管理など、注意すべき点が数多くあります。自社だけで対応するのが難しいと感じた場合は、社労士など専門家のサポートを受けることで、申請成功の可能性を高めることができます。
助成金の申請ならSATO社会保険労務士法人にご相談ください
企業運営において、助成金は大きな支えとなる制度です。とはいえ、「どんな助成金が使えるのか分からない」「申請の手続きが複雑で手が付けられない」とお悩みの企業も多いのが現状です。
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SATOは日本最大規模の社労士事務所として、これまで多くの企業の助成金申請をサポートしてきました。さらに、同じグループ内の行政書士法人との連携により、助成金だけでなく補助金についても幅広い対応が可能です。
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まとめ
キャリアアップ助成金は、正社員化や賃上げなど、従業員の処遇改善に取り組む企業を支援する、返済不要の公的制度です。上手に活用すれば、従業員の定着やモチベーション向上はもちろん、企業の経営改善にもつながります。
ただし、申請には事前の準備、正確な書類作成、期限の厳守など、注意すべき点が多くあります。実際には、ちょっとしたミスで不支給になるケースも少なくありません。
今回ご紹介した支給申請書の書き方や注意点を押さえておくことで、スムーズな申請に近づくことができます。
「様式の書き方がわからない」「添付書類の整理が大変」「スケジュールに不安がある」
「手間がかかりそう」「制度が複雑で不安」──そんなときは、無理に1人で抱え込まず、社労士などの専門家に相談するのも一つの手段です。
書類の作成や確認はもちろん、自社に合ったコースの選定から申請完了まで、的確なサポートを受けることができます。助成金を確実に受け取り、有効活用するためにも、必要に応じて専門家の力を借りることをおすすめします。
返済不要の助成金は、会社の成長や環境づくりに役立つ制度です。ぜひ前向きに活用を検討してみましょう。