【令和8年度】キャリアアップ助成金は誰がもらえる?対象となる企業・従業員を解説

「人手不足が解消しない」「優秀なパート・アルバイト社員に長く働いてほしいけれど、待遇改善の方法がわからない」

そんな人材に関する悩みを抱える企業は少なくありません。人材確保や定着を進めるには、待遇改善や教育体制の整備が重要ですが、すべてを自社の負担で行うのは簡単ではありません。

従業員の働きやすさを向上させながら、会社も成長するために活用できるのが「キャリアアップ助成金」です。キャリアアップ助成金は、パートや契約社員などの非正規雇用労働者を正社員にしたり、待遇を改善したりするなど、働き方の改善に取り組んだ企業に対して、国から助成金が支給される制度です。

本記事では、キャリアアップ助成金の全体像から、対象となる企業・従業員の条件、申請の流れまでを、はじめての方にも分かりやすく解説します。「うちの会社でももらえるのか?」が分かる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

キャリアアップ助成金とは? 目的と概要を解説

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者について、正社員化や賃金引上げなどの処遇改善に取り組む事業主を支援する制度です。企業にとっては、こうした取り組みに伴う負担の一部について助成を受けられる可能性があります。

キャリアアップ助成金にはいくつかの「コース」があり、それぞれ取り組み内容や要件が異なります。ここでは概要を表にまとめました。自社の取り組みに合うものがあるか、ぜひチェックしてみてください。

区分コース主な取り組み
正社員化支援正社員化コース有期雇用労働者等を正社員化
正社員化支援障害者正社員化コース障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換
処遇改善支援賃金規定等改定コース基本給の賃金規定等を改定し、3%以上増額
処遇改善支援賃金規定等共通化コース正規・非正規雇用労働者に共通する賃金規定等を新設・適用
処遇改善支援賞与・退職金制度導入コース賞与または退職金制度を導入し、支給または積立てを実施
処遇改善支援短時間労働者労働時間延長支援コース社会保険適用時に、労働時間延長等により収入を増加

各コースで対象となる労働者や支給要件、支給額は異なります。実際に活用する際は、厚生労働省の最新資料で対象要件を確認してください。

誰がもらえる?対象企業と従業員の要件

キャリアアップ助成金を受給するためには、企業側と従業員側の両方が一定の要件を満たす必要があります。要件を十分に理解していないと、「せっかく取り組んだのに対象外だった」というケースも少なくありません。申請前に必ず確認しましょう。

企業側の主な要件(全コース共通)

キャリアアップ助成金を受給するための、企業側に求められる要件は主に下記のとおりです。

  • 雇用保険適用事業所の事業主であること
  • 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を設置していること
  • 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長に提出していること
  • 実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明示できること
  • キャリアアップ計画期間内に、計画に記載した正社員化・処遇改善の取り組みを実施していること

対象となる従業員の要件はコースによって異なる

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などを主な対象としていますが、具体的な対象要件はコースごとに異なります。

たとえば、正社員化コースでは、正社員転換前の雇用期間や雇用形態、過去の雇用関係、事業主との関係などについて複数の要件が定められています。

正社員化コースの対象となる労働者の主な要件

正社員化コースでは、有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などを正社員へ転換した場合に、一定の要件を満たすことで助成の対象となります。

対象となる労働者については、たとえば以下のような要件が定められています。

  • 正社員とは異なる雇用区分で、一定期間継続して雇用されていること
  • 正社員として雇用されることをあらかじめ約束されて採用された者ではないこと
  • 事業主または取締役と一定の親族関係にないこと
  • 支給申請日時点で、対象事業所において継続して雇用されていること
  • その他、正社員化コースで定められた対象労働者の要件を満たしていること

なお、雇用期間や過去の雇用状況など、対象となるかどうかの判断には細かな条件があります。実際に申請する際は、正社員への転換を行った日に対応する厚生労働省の最新のパンフレットや支給要領を確認してください。

申請前に確認したい主な対象外・不支給要件

キャリアアップ助成金では、各コースで定められた支給要件を満たしていない場合のほか、雇用関係助成金に共通する不支給要件に該当する場合も、助成を受けられません。

たとえば、次のような点について確認が必要です。

  • 各コースで定められた要件を満たしていない場合
    賃金引上げ率や雇用期間など、必要な要件はコースによって異なります。
  • 一定の労働保険料の未納がある場合
    雇用関係助成金には、労働保険料の納付状況に関する共通要件があります。
  • 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反がある場合
    労働関係法令の違反がある場合には、助成金を受給できないことがあります。
  • 過去の助成金で不正受給に関する不支給決定等を受けている場合
    不正受給の状況や時期によっては、助成金を受給できない場合があります。

このほかにも、各コース固有の対象要件や雇用関係助成金に共通する支給要件があります。申請する際は、厚生労働省の最新の支給要領やパンフレットを確認してください。

(参照:厚生労働省HP 「キャリアアップ助成金」)

支給される金額と受給までの流れ

支給される金額の目安

ここでは、支給額の目安を図表でまとめました。「大体どのくらい支給されるのか」を知っておくことで、自社が取り組んだ場合の経済的メリットがイメージしやすくなります。

キャリアアップ助成金の支給額は、コースや取り組み内容、企業規模、対象労働者の要件によって異なります。

令和8年度の主な支給額は、以下のとおりです。

コース中小企業等大企業
正社員化コース(有期→正規)40万円~80万円/人30万円~60万円/人
正社員化コース(無期→正規)20万円~40万円/人15万円~30万円/人
賃金規定等改定コース4万円~7万円/人2.6万円~4.6万円/人
賃金規定等共通化コース60万円/事業所45万円/事業所
賞与・退職金制度導入コース40万円/事業所30万円/事業所
短時間労働者労働時間延長支援コース(1年目)小規模50万円/人・中小40万円/人30万円/人

正社員化コースでは、対象労働者が「重点支援対象者」に該当するかどうかなどによって支給額が異なります。また、各コースには加算措置や支給上限などがあります。

実際に活用する際は、取り組みを行った日に対応する厚生労働省の最新資料で支給額・要件を確認してください。

申請から受給までの基本的な流れ

キャリアアップ助成金を活用する際は、取り組みを始める前の準備と、取り組み後の支給申請をそれぞれ適切な時期に行う必要があります。

1.対象となるコース・要件を確認する
自社の取り組みがどのコースに該当するか、対象となる労働者や支給要件を確認します。

2.キャリアアップ計画を作成・提出する
原則として、各コースの取り組みを実施する前日までにキャリアアップ計画を作成し、提出します。

3.計画に沿って取り組みを実施する
正社員への転換、賃金規定の改定、賞与・退職金制度の導入など、対象となる取り組みを実施します。

4.支給申請を行う
取り組み後、各コースで定められた申請期間内に必要書類をそろえて支給申請します。

キャリアアップ助成金の申請時に確認したい注意点と準備のポイント

キャリアアップ助成金の支給を受けるためには、各コースの要件を満たし、必要な書類をそろえて期限内に申請する必要があります。ここでは、申請を進める際に確認しておきたい主な注意点と、事前に準備しておきたいポイントを紹介します。

キャリアアップ助成金の申請でよくある失敗例

提出書類の不足や記載内容の不一致

支給申請では、申請書のほか、就業規則や雇用契約書、賃金台帳など、コースに応じた書類の提出が必要です。必要書類の不足や記載内容の不一致があると、支給要件を確認できず、追加確認や補正が必要となる場合があります。申請前に、厚生労働省の支給申請チェックリストを使って確認しておきましょう。

キャリアアップ計画の内容に変更が生じた場合

提出したキャリアアップ計画の内容に変更が生じた場合は、変更内容に応じて「キャリアアップ計画書(変更届)」の提出が必要となる場合があります。計画と実際の取り組みに変更がある場合は、そのまま進めず、必要な手続きを確認して速やかに対応しましょう。

最新の制度・申請様式を確認していない

キャリアアップ助成金は、年度途中でも制度内容や申請様式が更新される場合があります。

令和8年度についても、取組日によって使用する申請様式が異なるため、「令和8年度版」というだけでなく、自社が取り組みを実施した日に対応する資料・様式を確認することが重要です。申請前には、厚生労働省の最新のパンフレット、Q&A、申請様式、支給申請チェックリストを確認しましょう。

キャリアアップ助成金の申請前に確認しておきたい準備のポイント

必要書類を事前にチェック

提出が必要な書類や記載項目を早めに確認し、漏れや不一致を防ぎます。

記録をしっかり残す

賃金台帳、労働条件通知書、就業規則の改定履歴など、取り組みを裏付ける資料を整えておきましょう。

専門家に相談する

キャリアアップ助成金は、コースごとに対象要件や必要書類、申請時期が異なります。自社が対象となるか判断しにくい場合や、申請手続きに不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談する方法があります。

事前に相談することで、利用するコースの要件や必要書類、申請までのスケジュールを確認しながら準備を進めることができます。

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まとめ

キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者などの正社員化や賃金引上げなど、処遇改善に取り組む事業主を支援する制度です。

対象となる企業・従業員の要件や支給額、必要な手続きはコースごとに異なります。また、制度内容や申請様式が変更される場合もあるため、実際に活用する際は、自社の取り組みに該当するコースと最新の要件を確認することが重要です。

「自社が対象になるのか分からない」「どのコースを利用できるのか判断が難しい」「申請に必要な書類やスケジュールを確認したい」といった場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することも選択肢の一つです。

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