企業経営において、従業員とのトラブル防止や働きやすい職場環境づくりのために欠かせないのが「就業規則」です。特に一定規模以上の企業には、就業規則の作成や労基署への提出が法律上義務付けられます。
しかし、就業規則は作って終わりというものではなく、法改正や経営状況の変化に合わせて、見直しや変更が求められます。今回は、中小企業の経営者や個人事業主の皆様に向けて、就業規則の基本から変更手順までをわかりやすく解説していきます。
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就業規則とは
就業規則とは、企業が従業員に対して定めた労働条件や職場内の規律に関するルールをまとめた規則集です。労働基準法では、常時10人以上の従業員を雇用する企業に対し、就業規則の作成と労働基準監督署への届け出が義務付けられています。この就業規則の作成・提出義務を怠ると、30万円以下の罰金や、労基署からの指導などのリスクがあるので注意が必要です。
就業規則には、賃金、労働時間、休暇、解雇といった従業員が守るべき基本ルールが記載されています。こうしたルールを明確にすることで、職場の秩序を守るとともに、従業員は安心して働くことができ、労使間のトラブルを未然に防ぐことができるというメリットがあります。

就業規則変更の必要性
就業規則は一度作成すれば終わりではありません。労働法の改正、会社の経営状況の変化、働き方改革への対応など、さまざまな理由で見直しや変更が必要となります。
就業規則の変更を怠ると、就業規則の作成や届出義務に違反した場合と同じように、30万円以下の罰金が科せられたり、労基署からの勧告や指導のリスクがあります。
また、適切に就業規則の変更が行われていないと、労使間のトラブルが発生したり、従業員に不安を与えてしまう恐れがあります。したがって、就業規則は定期的な見直しと修正が不可欠なのです。
下記では、具体的に就業規則の変更が必要になるケースについて説明をします。
労働法関連の法改正があったとき
労働関連の法令が改正された場合、就業規則も新しい法律に沿って変更しなければなりません。たとえば、2025年4月には育児・介護休業法の大きな改正が行われました。この改正により、”子の看護休暇”が”子の監護等休暇”に名称変更され、対象範囲や取得事由も拡大しました。また、勤続6か月未満の除外規定も廃止されています。
こうした変更点を就業規則に適切に反映しなければ、就業規則が無効となる可能性があり、労働基準監督署からの指摘対象にもなり得ます。必ず法改正に応じた見直しを行いましょう。
経営状況の変化
企業の成長や事業内容の変更に伴い、就業規則が現状に合わなくなる場合もあります。たとえば、社員数が増え、アルバイトやパート従業員を多数雇うようになった場合、それぞれの労働条件を明確に規定する必要があります。このような場合も、速やかに就業規則を見直し、変更することが重要です。
働き方改革
テレワークや短時間勤務制度、フレックスタイム制など、働き方改革に基づいて新しい制度を導入する際は、就業規則にこれらの制度を明記する必要があります。これらの制度を就業規則に反映しないまま導入してしまうと、労働時間や賃金に関する具体的な取り決めが曖昧になり、従業員との間でトラブルが発生しやすくなります。スムーズな運用とトラブル防止のためには、導入前に就業規則の内容をしっかりと整備しておくことが不可欠です。
就業規則変更の手順
就業規則を変更する際は、次のような手順を踏む必要があります。
変更内容の決定
まず、担当部署にて変更案を作成します。この際、変更の背景や目的を整理し、なぜ変更が必要なのかを明確にしておくことが大切です。そして、作成した変更案が労働基準法をはじめとする各種労働関連法規に違反していないか、十分に確認しましょう。
違反がないことを確認できたら、取締役会や経営会議などで変更案について決裁を得ます。ここでは、経営陣全体で変更内容を共有し、リスクの有無や必要な対策についても確認しておくことが重要です。
労働組合または労働者代表者の意見聴取
変更案が決裁された後は、労働者側の意見を聴取します。具体的には、労働者の過半数が所属する労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する者に対して、変更内容を説明し、意見を求めます。その際、単なる通知にとどまらず、必要に応じて質疑応答や意見交換の場を設けることで、労使間の理解と協力を得やすくなります。
意見聴取後には、「意見書」を作成し、これを就業規則変更届に添付する形で使用します。意見書に特定の様式はありませんが、意見内容を簡潔かつ正確に記載することが望ましいでしょう。
就業規則変更届の提出
次に、労働基準監督署に提出するための「就業規則変更届」を作成します。これは、厚生労働省の公式ホームページから様式をダウンロードすることができます。提出書類には、就業規則変更届のほか、意見書、変更後の就業規則本体が必要です。
ここで注意が必要なのは、提出先の労働基準監督署は、企業本社の所在地ではなく、就業規則を適用する事業所を管轄する署であるという点です。事業所単位での対応が求められるため、誤って本社管轄の署に提出しないようにしましょう。
変更後の就業規則の周知
就業規則の変更内容が労働基準監督署に受理された後は、従業員への周知が必要です。周知とは、単に告知するだけではなく、労働者が必要なときに自由に内容を確認できる状態にしておくことを指します。具体的には、紙媒体での配布、イントラネットへの掲載、共有ファイルへの保存などが考えられます。
ここで注意したいのは、ロッカーなどに保管するだけでアクセスが制限される状態では、周知が十分とは認められないことです。適切な方法で確実に従業員に周知しなければ、せっかく変更した就業規則の効力が無効とされるリスクもあります。
まとめ
就業規則は、企業経営を支える重要なルールです。適切な就業規則が整備されていることは、従業員にとっても安心して働ける環境づくりに直結します。特に中小企業においては、リスク管理の観点からも、就業規則を常に最新の状態に保つことが欠かせません。
時代の流れに応じて、働き方や労働条件は常に変化しています。法改正や社会的要請に即応できる柔軟な体制を整えておくことで、トラブルの未然防止だけでなく、従業員満足度の向上や企業のブランドイメージ向上にもつながります。また、就業規則の変更・見直しを通じて、労使間の信頼関係を強化することもきます。
就業規則の作成・変更は煩雑に感じるかもしれませんが、正しい手順を踏み、専門家のサポートを受けながら進めれば決して難しいものではありません。日頃から就業規則に関心を持ち、定期的な見直しを行うことが、安心・安全な職場づくりへの第一歩となります。
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