就業規則を閲覧させるのは会社の義務?違反するとどうなる?

就業規則を閲覧させるのは会社の義務?違反するとどうなる?

中小企業の経営者や労務担当者の皆さん、従業員から就業規則の閲覧を求められたことはありませんか?

「従業員から就業規則の閲覧を求められたけど応じないといけないの?」「無視や拒否したらどうなるの?」など、就業規則の閲覧について不安に感じることもあるかと思います。

この記事では、就業規則の閲覧は会社の義務なのか、また、閲覧させなかったらどうなるのか、等わかりやすく解説したいと思います。


就業規則でお困りならご相談ください!

「就業規則をまだ作っていない」「昔作ったけど何年も見直していない」
「とにかく安く就業規則を作りたい」
など
ぜひSATO社会保険労務士法人の
就業規則作成サービスをご利用ください


目次

就業規則を閲覧させるのは会社の義務です

労働基準法第106条第1項では、会社(使用者)は就業規則を従業員に周知しなければならないと定められています。

ここでいう「周知」とは、行政通達によれば「就業規則等を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にあること」を意味します。就業規則をロッカーの奥にしまっていたり、上司の許可がないと見られない状態では「周知」とは言えません。

従業員が必要な時にいつでも見られる状態にしておく必要があり、つまり会社は従業員に「就業規則を閲覧させる義務」があるのです。

就業規則には労働条件などが規定されており、従業員にとって非常に影響が大きいものです。そのため、従業員が安心して働くことができるよう、会社は従業員に対して就業規則を周知する(閲覧させる)義務があるのです。

会社が従業員に就業規則を閲覧させない場合はどうなる?

就業規則を従業員に閲覧させない、閲覧しにくい状態にしている場合、会社にはさまざまなリスクが生じます。

行政指導や刑事罰を受ける可能性

会社が従業員に就業規則を周知する・閲覧させるのは、法律で定められた義務であり、この義務に違反した場合は労働基準監督署から行政指導を受ける可能性があります。労働基準監督署は、会社が就業規則の周知・閲覧義務を果たしていないと判断した場合、是正勧告や指導票を出します。

さらに会社が、これに従わずに放置すると、労働基準法違反として刑事罰が科されることもあり、最悪の場合30万円以下の罰金が科される可能性もあります。

このような行政指導や刑事罰を受けると、担当者の負担が大きいというだけでなく、社内外からの信用を失い、会社の事業に深刻な影響を与えかねません。

労使トラブルにつながる可能性

就業規則が従業員に適切に周知され・閲覧できる状態にないと、労使トラブルにつながるリスクが高くなります。例えば、会社が「就業規則にこう書いてあるから」という理由で従業員の懲戒処分をしても、「そんな就業規則の内容は聞いていない」と従業員に主張される可能性があります。

また、就業規則が適切に周知・閲覧できる状態にないと、その効力が否定されることがあります。その場合、会社は就業規則に基づいて指揮命令ができないため、従業員とのトラブルで会社側はとても不利になります。

このようなリスクを避けるためにも、就業規則の閲覧を従業員に確実に認める体制が重要です。

就業規則の具体的な周知・閲覧方法

労働基準法では、就業規則はただ作成すればよいのではなく、その内容を従業員がいつでも確認できるようにしておく必要があります。

具体的な周知方法については、労規則52条の2で次の3つが定められています。

  1. 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
  2. 書面を労働者に交付すること。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

パソコン内に就業規則を保存する場合の注意点

最近では、就業規則をデータとしてパソコンに保存しておくケースも一般的です。ただし、就業規則は、従業員が必要な時に容易に確認できる状態にあることが必要です。そのため、パソコン操作に上司の許可が必要である場合や、ファイルにパスワードがかかっていて従業員が自由に開けない場合などは、就業規則の周知・閲覧義務を果たしたことになりません。

パソコンで周知する場合は、各作業場に従業員が自由に使えるパソコンを設置し、必要なときに閲覧できる環境を整えておくことが重要です。

就業規則の周知(閲覧させる)に関する注意点

就業規則の周知・閲覧義務には、いくつかのポイントがあります。

就業規則を周知(閲覧させる)する対象は全従業員

就業規則の周知は、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトといった非正規社員にも行う必要があります。そのため、例えば正社員だけに周知し、パートには見せていないという状態であれば、労働基準法違反となる可能性があります。

ただ、業務委託や請負などの契約形態で働いている人については、周知・閲覧の就業規則の対象外となります。

就業規則の周知は事業場ごと

就業規則の周知・閲覧義務は会社全体ではなく、各事業場ごとに実施する必要があります。そのため、例えば支店の従業員から就業規則の閲覧を求められた際に、「本社に設置しているから支店では見せられない」という理由で、閲覧を拒否することはできません。

営業所や工場など、従業員が働いている事業場ごとに就業規則を設置し、周知する必要があるという点に注意しましょう。

就業規則についてのご相談ならSATO社会保険労務士法人まで

就業規則の運用や内容など、就業規則に関して不安があれば、SATO社会保険労務士法人まで気軽にご相談ください。当事務所は、日本最大規模の社労士事務所として、就業規則に関する豊富なノウハウと実績を有しています。

個人事業主から大企業まで、幅広い業種・規模の企業に対応しており、全国どこからでもご相談いただけます。

就業規則の作成・見直し・運用まで、専門家がしっかりサポートいたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ

就業規則は単に作成すればよいものではありません。従業員が必要なときにすぐに見られる状態にしておく、つまり周知・閲覧させることが会社の義務です。もしこの義務を怠ると、労働基準監督署からの指導や罰金などの法的リスクがあるだけでなく、労使トラブルの火種にもなりかねません。

就業規則の周知方法には、掲示、配布、パソコンでの閲覧など複数の選択肢がありますが、最も大切なのは「従業員がいつでも確認できる状態にあること」です。また、就業規則の見直し・変更をした際も、同様にその内容を従業員に周知・閲覧させることが必要です。

今一度、自社の就業規則を従業員が適切に周知され、いつでも閲覧できる状態になっているのかどうか、確認してみてください。

もし、就業規則の運用について不安があるという方は、SATO社会保険労務士法人まで気軽にご相談ください。


就業規則でお困りならご相談ください!

「就業規則をまだ作っていない」「昔作ったけど何年も見直していない」
「とにかく安く就業規則を作りたい」
など
ぜひSATO社会保険労務士法人の
就業規則作成サービスをご利用ください


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次