令和9年から社会保険加入条件が変更、50人以下の場合も加入対象に

2025年5月16日、厚生労働省は「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」を国会に提出しました。この法改正案には、社会保険の適用拡大や在職老齢年金制度の見直し、遺族年金の見直しなど、企業の雇用管理に大きく関わる内容が盛り込まれています。

特に注目されているのが、「社会保険の適用拡大」に関する改正です。これまで社会保険の対象外とされていた、従業員数50人以下の企業に勤める短時間労働者も、令和9年(2027年)以降は段階的に社会保険の適用対象に含まれるようになります。

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目次

短時間労働者に対する社会保険の加入条件が変更

今回の法改正では、パートやアルバイトといった短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)加入条件が見直されます。

現在は、以下の4つの条件すべてを満たす短時間労働者のみが、社会保険の加入対象となっています。

  1. 賃金が月額8.8万円(年収106万円相当)以上
  2. 週の所定労働時間が20時間以上
  3. 学生でない
  4. 従業員数51人以上の企業に勤務している

このうち、1の賃金要件と4の企業規模要件(51人以上)が廃止される方向で改正が進められています。

50人以下の企業が対象になるのは令和9年から

令和9年10月以降は、従業員数50人以下の企業でも、短時間労働者に対して社会保険の加入義務が生じるようになります。ただし、令和9年10月からすべての50人以下の企業が一斉に対象となるわけではなく、従業員数に応じて段階的に適用されていきます。

  • 令和9年10月~令和11年9月末:従業員35人を超える企業が対象
  • 令和11年10月~令和14年9月末:20人を超え企業が対象
  • 令和14年10月~令和17年9月末:10人を超える企業が対象
  • 令和17年10月~:企業規模による要件は完全に廃止

これにより、将来的にはほぼすべての企業が、短時間労働者の社会保険適用義務を持つことになります。

今回の企業規模要件の撤廃により、新たに約70万人の短時間労働者が社会保険への加入対象となる見込みです。これにより、事業者には社会保険料の負担増や手続き業務の増加など、さまざまな影響が及ぶことが想定されます。経営者や担当者としては、対象となる従業員の把握や社内体制の見直しなど、早めの準備を進めておくことが重要です。

賃金要件は公布から3年以内に撤廃予定

これまで短時間労働者が社会保険に加入するには、賃金が月額8.8万円(年収106万円)以上であることが必要でしたが、この賃金要件も廃止される見込みです。

施行日は、改正法の公布から3年以内の政令で定める日とされています。背景として、最低賃金が全国的に1,016円以上になれば、週20時間勤務でも年収106万円を超えることになり、実質的に賃金要件が意味をなさなくなるためです。

今回の社会保険の適用範囲拡大について、厚生労働省はその背景として、労働者の年金受給額が増えることで将来的により充実した保障を受けられるようになることや、加入条件を簡素化することで、労働者が自分のライフスタイルに合った働き方を選びやすくなることなどを挙げています。

被保険者・企業への支援

今回の改正により、社会保険料の本人負担を避けるために勤務時間を減らす従業員が出る可能性もあります。

そこで、国は次のような支援策を準備しています。

  • 社会保険料の本人負担を軽減する時限的措置(改正から3年間)
  • 労働時間の延長や賃金アップに取り組んだ企業に対するキャリアアップ助成金

これらの支援を活用しながら、企業と従業員の双方が負担を減らし、円滑に制度移行できるよう配慮がなされています。

対象となる企業では早めの準備を

社会保険の加入対象となる従業員が増えることで、企業側には以下のような負担が発生します。

  • 社会保険料の企業負担の増加
  • 加入手続きの実施
  • 就業規則など社内規定の整備
  • 対象従業員の把握・管理

法改正は段階的ではあるものの、早期に準備に取りかかることで、スムーズな対応が可能になります。

「手続きが煩雑で不安がある」「社内体制の整備が追いつかない」といったお悩みがあれば、SATO社会保険労務士法人にぜひご相談ください。

SATO社会保険労務士法人では、個人事業主から大企業まで、全国の企業を対象に、社会保険手続きのアウトソーシングから社内規定の整備まで、トータルで支援しております。

まとめ

令和9年からの社会保険適用拡大により、従業員数50人以下の中小企業でも、短時間労働者の社会保険加入が求められるようになります。これに伴い、企業には制度対応のための準備が求められます。

  • 加入対象の従業員を把握する
  • 就業規則や雇用契約の見直しを行う
  • 社会保険料の予算を確保する
  • 国の助成金や軽減措置を活用する

今のうちから計画的に動き出すことが、法改正後の円滑な対応につながります。制度の内容や実務対応に不安がある場合は、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

社会保険制度の変化にしっかり備え、企業経営の安定と従業員の安心を両立させましょう。

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