健康経営とメンタルヘルスのいま

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企業の健康経営とメンタルヘルス問題

近年、多くの企業において、健康経営に対する重要性を認識し始めています。

従業員の健康は、生産性と関わる中で、企業の持続的な成長、業績向上においても重要な要素とされています。

なかでも、新型コロナウィルスが長引く影響や感染対策に伴う種々の行動制限やライフスタイルの急激な変化もあり、うつ病や不安障害、適応障害、睡眠障害や依存症といったメンタルヘルスに起因する代表的な精神疾患を持つ、あるいは従業員本人が精神疾患の症状に気づいていなくても、表情や行動にサインとして現れるようなケースに対する対応が求められています。

世界保健機関(WHO)は、メンタルヘルスを「すべての個人が自らの可能性を認識し、生命の通常のストレスに対処し、 生産的かつ効果的に働き、コミュニティに貢献することができる健全な状態」と定義しています。

World Health Organization. Mental Health: strengthening our response [Internet].
Geneva: World Health Organization; 2018 Mar 30 [cited 2020 Sept 20]. Available from:
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/mental-health-strengthening-our-response

精神疾患の増加傾向

厚生労働省の患者調査によると、精神疾患を持つ患者数は、258万人(2002年)から419万人(2017年)と15年間で1.6倍増加しています。

精神疾患は気分障害、統合失調症、神経症性障害に大きく分類され、患者数別(2017年)でみると、最も多いのが気分障害127.6万人(2002年から約1.8倍増加)、神経症性障害83.3万人(2002年から約1.9倍増加)、統合失調症79.2万人(2002年から約1.1倍増加)と報告されています。

厚生労働省 「こころの病気の患者数の状況」2022

経済協力開発機構(OECD)の「メンタルヘルスに関する国際調査2021」では、うつ症状を有する日本人の割合は新型コロナウィルス前の7.9%(2013年)から17.3%(2020年)と2.2倍に増加したという報告もみられています。

OECD Policy Responses to Coronavirus (COVID-19). “Tackling the mental health impact of the COVID-19 crisis: An integrated, whole-of-society response”.OECD, 2021.

職場でのメンタルヘルス対策

昨今のビジネス環境において健康経営、ウェルビーイングという概念が注目される一方、多様化、複雑化した要因から従業員のメンタルヘルス不調が増えている背景を踏まえ、職場でのメンタルヘルス対策として、様々な施策が行われています。

厚生労働省は、企業に従業員のメンタルヘルスを計画的に支援する「心の健康づくり計画」を推奨しており、4つのケアの推進を提唱しています。「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」が継続的かつ計画的に行われることが重要とされています。

4つのケアが適切に実施されるよう、事業場内の関係者が相互に連携し、推進することが効果的としており、個人情報保護への配力を加えながら、教育研修・情報提供や職場環境の把握と改善、メンタルヘルス不調への気付きと対応、職場復帰支援といったメンタルヘルスケアを具体的に進めていくことを求めています。

厚生労働省 職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~

また、新型コロナウイルスパンデミック期以降、出社制限、テレワーク等の働き方の変化から、「長時間労働になりやすい」「コミュニケーションが取りづらい」等、テレワークがメンタルヘルス不調につながる恐れや「孤独感」、「生活リズムの乱れ」、「運動不足」などの影響でメンタルヘルス不調を感じる人が増えたとも言われ、テレワークに対応した適切な対策として「テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き」が公開されています。

厚生労働省 テレワークにおける メンタルヘルス対策 のための手引き

従業員のメンタルヘルスをサポートする取り組みの重要性

このように、企業は、従業員の健康や、生産性向上、リモートワークの導入といった面からも、従業員のメンタルヘルスをサポートすることが強く求められています。

メンタルカウンセリング窓口の開設や、職場環境の改善活動を行うことなどにより、常日頃から、従業員のストレスをケアする環境や状況をつくることが何よりも重要になってきます。

従業員本人に精神疾患の自覚症状があるケースのみならず、精神疾患の症状に気づいていなくても、表情や行動にサインとして現れるようなケースにも十分な対応を施していく必要になってきます。

今や、企業における健康経営を実施していくうえで、メンタルヘルスに関わる基礎知識や対策に習熟していることは、マネジメントに必須不可欠なスキルになっていると言えるでしょう。

執筆者情報

執筆者情報:ドクターズ株式会社

会社名:ドクターズ株式会社

独自のガイドラインに基づく現役エキスパート医師®*のネットワークを活用し、デジタルヘルスサービスの事業化支援「Doctors Cloud®」、医療DX・デジタルヘルス総合支援サービス「Doctors Next®」、医療連携型オンライン医療支援サービス「Doctors Station®」等を提供。

*エキスパート医師®:医師としてトップクラスの臨床現場での経験と実績を持ち、デジタルヘルスや医療DXに積極的な姿勢を持つ医師のネットワーク。専門医を中心とする600名以上の医師が参加しています。


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