令和7年10月、健康保険の被扶養者(19歳以上23歳未満)の条件が一部変更へ

令和7年10月、健康保険の被扶養者(19歳以上23歳未満)の条件が一部変更へ

令和7年5月16日、厚生労働省より「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定について」のパブリックコメントが公表されました。これにより、19歳以上23歳未満の被扶養者について、健康保険における認定基準の一部が見直される見通しです。

改正は令和7年10月1日から適用される見込みですので、企業の人事担当者の皆さまは早めの情報収集と対応準備が求められます。

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目次

19歳以上23歳未満の被扶養者について収入要件が変更

現在、健康保険の被扶養者となるためには、年間収入が130万円未満であることが基本的な要件です。しかし、今回の見直しにより、19歳以上23歳未満の対象者については、この収入基準が150万円未満に緩和されます。

今回、健康保険の被扶養者の条件が変更される背景には、日本の労働力不足と”年収130万円の壁”があります。パートやアルバイト等として働く19歳以上23歳未満の人たちの中には、家族の健康保険の扶養から外れることを避けるため、働く時間を抑えるケースがあります。

労働力不足が深刻化する日本においては、これが社会問題化しており、今回の認定基準の変更はこのような”年収130万円の壁”による就業調整を防ぐことが目的とされています。

税制面ではすでに特定扶養控除の見直しや、特定親族特別控除の創設など、同様の対応が進められています。

(パブリックコメント:https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/download?seqNo=0000292992

健康保険の被扶養者の条件

ここで、健康保険における被扶養者の認定条件について、基本をおさらいしておきましょう。被扶養者として認定されるためには、”被扶養者の範囲”と”収入要件”の両方を満たす必要があります。

被扶養者の範囲

健康保険の被扶養者として認められる範囲は以下のとおりです。

  • 被保険者の直系尊属(親や祖父母)、配偶者(内縁関係を含む)、子や孫、兄弟姉妹で、被保険者に生計を維持されている人
  • 被保険者の三親等以内の親族で、同一世帯に属し、被保険者に生計を維持されている人

年収要件

収入については、被保険者と同一世帯に属しているかどうかによって基準が異なります。

  • 同一世帯に属している場合、年間収入が130万円未満(60歳以上・障害者であれば180万円未満)であり、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満であることが条件です。(ただし、対象者の年間収入が被保険者の2分の1以上であっても、被保険者の年間収入を上回らない場合には、家庭の状況等により被扶養者となる場合があります)
  • 同一世帯に属していない場合には、年間収入が130万円未満(60歳以上・障害者であれば180万円未満)で、かつ被保険者からの仕送りなどの援助額よりも少ない収入であることが条件になります。

今回の見直しでは、19歳以上23歳未満の被扶養者については、年収要件が130万円から150万円まで拡大されます。

まとめ

今回の見直しにより、従業員の家族があらたに被扶養者として認定されるケースが出てくる可能性があります。企業の人事担当者は、従業員に制度変更の内容を周知し、扶養の追加手続きや相談への対応が円滑に行えるよう、事前に準備しておくことが重要です。

令和7年10月の施行に向けて、社内制度や説明体制の見直しも含めた準備を進めておきましょう。

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