海外展開を検討する企業にとって、現地法人の設立や労務管理は高いハードルとなります。そんな中、注目されているのが「EOR(Employer of Record)」という新しい雇用形態です。本記事では、EORの概要や仕組み、実際の活用メリットについてご紹介します。
EOR(雇用代行)のご相談
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1|EORとは
EOR(Employer of Record)とは、企業に代わって海外の従業員を雇用し、雇用契約や給与支払い、社会保険の加入などを代行する法人やサービスのことを指します。
日本語では「雇用主代行」などと訳されることが多く、企業は現地に法人を設立することなく、法的に正当な形で現地の人材を雇用できるようになります。
日本ではまだあまり一般的ではありませんが、欧米やアジアの一部地域ではスタートアップ企業を中心に利用が広がっており、「現地採用の第一歩」として活用されるケースも増えています。
2|EORはどのような仕組み?
2-1|企業とEORの役割分担
EORの仕組みでは、企業とEORがそれぞれ異なる役割を担います。
企業は従業員に対して業務の指示を出し、日々のマネジメントや評価を行う立場です。一方、EORはその従業員の「法的な雇用主」として、雇用契約の締結や社会保険・税務手続きを行います。
このように、業務指示は企業側が行い、法的責任や管理業務はEORが負うという構図により、企業は現地の法制度に煩わされることなく、必要な人材を雇用することができるのです。
2-2|EORが担う主な業務
EORは、従業員の雇用契約の締結、給与支払い、社会保険や税金の手続きといった労務管理全般を担います。また、現地の法令に沿った採用手続きや、就業開始時のオンボーディング支援なども含まれるケースがあります。
さらに、万が一労務トラブルが発生した場合には、現地のEORがその一次対応を行うこともあり、企業側の負担を大きく軽減することができます。
3|EORを利用するとどうなる?
EORを活用することで、まず大きなメリットとなるのが、現地法人を設立せずに海外人材を雇用できる点です。法人設立には多くの時間やコストがかかりますが、EORを利用すればその手間を省くことができ、迅速に人材を確保することが可能になります。
また、各国で異なる労働法や社会保険制度、税制への対応も、EORが代行してくれるため、法的リスクの軽減にもつながります。企業にとっては、海外雇用に関する不安や負担を大きく減らすことができる選択肢といえるでしょう。
4|EORの活用が向いているケース
4-1|新たな市場でのテスト雇用
海外展開を検討しているものの、まずは少人数でのテスト雇用から始めたいという企業にとって、EORは非常に適した手段です。例えば、営業担当やカスタマーサポートなど、現地でのニーズを見極めるために期間限定で人材を配置する場合にも、EORは有効に活用できます。
4-2|短期採用・プロジェクト採用
期間限定のプロジェクトや業務委託など、1年未満の雇用を想定している場合も、EORの柔軟な契約形態は適しています。特にITエンジニアやクリエイターなどの専門人材を海外から一時的に確保したいケースでは、EORを活用することでスムーズな立ち上がりが可能になります。
4-3|海外法務・労務に不安がある企業
現地の法令や就労許可、社会保険制度などに精通した人材が社内にいない場合、EORは大きな支えとなります。EORは各国の制度に精通しており、現地での採用に必要な手続きを代行してくれるため、コンプライアンスを担保しながらの雇用が実現します。
5|EOR導入時の注意点
EORの導入にあたっては、いくつかの点を事前に確認しておくことが重要です。
まず、EORサービスの提供範囲は企業ごとに異なります。たとえば、対応している国が限られていたり、社会保険の手続きまでカバーしていない場合もあります。自社の雇用ニーズに対して、どのプロバイダーが最適かを事前にリサーチしておく必要があります。
また、契約条件についても細かく確認することが求められます。給与の通貨や支払スケジュール、退職金制度の扱いなど、国や契約形態によって内容はさまざまです。とくに従業員との間に誤解が生じないよう、契約前の段階で詳細を明確にしておくことが大切です。
さらに、EORは原則としてリモート雇用を前提とするため、企業側の人事・マネジメント体制がその働き方に対応しているかどうかも確認しておくべきポイントです。リモートワークに適した評価制度やコミュニケーション環境が整っていない場合は、EOR活用後の従業員の定着率や満足度に影響する可能性もあります。
6|まとめ
EORは、現地法人を設立することなく、法的に正当な形で海外人材を雇用できる新しい仕組みです。
特に、グローバル展開を検討しているものの、コストや手続きの煩雑さに不安を感じている企業にとって、非常に有効な選択肢となります。
日本ではまだ一般的とはいえないEORですが、今後のグローバル人材戦略において、柔軟かつ効率的な海外雇用の第一歩として注目される存在になることは間違いありません。まずは少人数・短期での導入から始めてみるのも良いでしょう。
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