令和8年度|男性の育休期間を社労士が詳しく解説します

近年、男性の育児参加を後押しする制度整備が進み、育児休業の取得はより現実的な選択肢となっています。特に2022年の法改正以降、「産後パパ育休」の創設や分割取得の柔軟化により、ライフスタイルや業務状況に応じた取得が可能になり、企業側にも適切な運用が求められています。

一方で、「いつからいつまで取れるのか」「何回に分けられるのか」「どこまで延長できるのか」など、制度が複雑で分かりにくいという声も少なくありません。

本記事では、令和8年度(2026年)時点の制度に基づき、男性の育児休業について、人事担当者・企業側の実務にも役立つ形で整理して解説します。

目次

男性の育休についての全体像

まずは、制度全体を一目で把握できるよう整理します。

男性の場合、制度を組み合わせることで、出生直後〜最大2歳までの期間にわたり育休取得が可能です。

産産後パパ育休(出生時育児休業):最大4週間(28日間)

産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生直後の時期に男性が集中的に育児に関われるよう創設された制度です。短期間でも取得しやすく、近年利用が増えています。

■制度のポイント

  • 出生後8週間以内に取得
  • 最大4週間(28日間)まで取得可能
  • 最大2回まで分割可能(※初回申請時にまとめて申請
  • 原則として、休業開始予定日の2週間前までに申出が必要

出産予定日から取得することも可能なため、出産直後のサポートに有効です。

■実務ポイント

  • 分割する場合は事前設計が必須
  • 労使協定があれば一部就業も可能
  • 短期取得ニーズに対応しやすい

参考:厚生労働省HP 「産後パパ育休」 産後パパ育休|育児休業制度特設サイト|厚生労働省

通常の育児休業(いわゆる育休)

通常の育児休業は、産後パパ育休の後や、一定期間経過後に取得される制度で、より長期的に育児に関わることができます。

■制度のポイント

  • 原則子が1歳になる前日まで取得可能
  • 休業開始の1か月前までに申出が必要
  • 最大2回まで分割取得都度申請

■組み合わせ例

産後パパ育休(2回)+育休(2回)→ 最大4回に分けて取得可能

■実務ポイント

  • 業務の繁閑に合わせた取得設計が重要
  • 復帰→再取得のスケジュール管理が必要

参考:厚生労働省HP 「育児休業」 育児休業|育児休業制度特設サイト|厚生労働省

育児休業の延長:子どもが2歳に達するまで

育児休業は、原則として子どもが1歳になるまでですが、以下のような特別な事情がある場合には、1歳6ヵ月まで、さらに必要に応じて最長で2歳まで延長することが可能です。

■主な延長理由

  • 保育所への申し込みをしているが、入所できない
  • 配偶者が病気やけがなどで育児が困難
  • 離婚により片親が子と同居しない
  • 新たな妊娠・出産による身体的負担

■実務ポイント

  • 社内規程も確認し、育休延長が認められるかの把握が必要

延長の際には、その都度申請が必要です。1歳6ヵ月時点で状況が変わっていなければ、さらに再延長の申請を行うことで、2歳になる前日まで育児休業を取得することができます

重要|令和7年4月以降の変更点(延長手続き厳格化)

令和7年(2025年)4月以降、育児休業給付の支給期間延長に関する取扱いが見直されており、現在はより厳格な要件のもとで運用されています。

保育所などへの入所申込みを行ったものの入所できない場合でも、単に入所保留通知書を提出するだけでは足りず、「速やかな職場復帰を目的とした申込みであること」が確認される仕組みとなっています。

これは、制度趣旨に沿わない形式的な申込みによる延長を防ぐための措置であり、申込み内容の実態がこれまで以上に重視される点が特徴です。

そのため、従業員がどのような条件で保育所申込みを行っているかについて、企業側も事前に把握しておくことが重要です。復帰意思の有無や、入所可能性を踏まえた申込みとなっているかなど、実態に即した対応が求められます。

参考:厚生労働省HP 「育児休業給付金の支給対象期間延長手続き」 育児休業給付金の支給対象期間延長手続き|厚生労働省

パパ・ママ育休プラス(1歳2か月まで延長)

両親がともに育休を取得する場合、特例として育休期間を延ばすことができます。

■制度のポイント

  • 子が1歳2か月になる前日まで延長可能
  • 父母それぞれの取得期間は原則1年以内

■実務ポイント

  • 労使協定の内容によっては、対象外となる労働者がいるため注意が必要
  • 「本人の育休開始日が、配偶者の育休開始日以降であること」など取得要件が定められているため、要件を満たしているか事前確認が重要

夫婦で取得時期を調整することで、より長期間にわたり家庭での育児体制を確保できます。

参考:厚生労働省HP 「パパ・ママ育休プラス」 パパ・ママ育休プラス|育児休業制度特設サイト|厚生労働省

申請期限はいつまで?(制度ごとに異なる点に注意)

育児休業の申請期限は、制度ごとに異なります。申請が遅れると取得できない可能性もあるため、事前のスケジュール管理が重要です。

■実務ポイント

  • 申請期限は法律上の基準だけでなく、会社独自のルールが定められている場合もあるため、社内規程も含めて事前に確認しておく
  • 分割取得を予定している場合は、取得時期や回数を事前に整理しておくことが重要
  • 延長申請では、保育所申込み状況などの確認書類が必要となるため、早めの準備が重要

参考:厚生労働省HP 「育児休業等給付について」 育児休業等給付について|厚生労働省

育児休業給付金はいくら?(支給率の仕組み)

育児休業中は、一定の要件を満たすことで、雇用保険から各種給付金を受給できます。育児休業給付金は、休業期間に応じて支給率が変わる仕組みとなっており、育休開始から一定期間は高い支給率が設定されています。

また、育児休業等給付には、取得状況や働き方に応じて複数の制度があります。

特に、出生後休業支援給付金は、夫婦ともに育児休業を取得しやすくするための制度です。育児休業給付金等に13%が上乗せされることで、一定期間については、手取りベースで休業前賃金のほぼ10割相当となるケースもあり、共働き世帯にとって大きな支援となります。

なお、出生後休業支援給付金の対象期間は、最大28日分までとされています。

■実務ポイント

  • 育児休業給付金には、雇用保険の加入期間や休業中の賃金支払い状況など、一定の支給要件がある
  • 育児休業中に会社から給与が支払われる場合、その金額によっては給付金が減額・調整されることがある
  • 給付金には支給上限額も設定されているため、高所得者は満額支給とならない場合がある
  • 制度改正が比較的多いため、最新情報を確認しながら運用することが重要

参考:厚生労働省HP 「育児休業等給付について」 育児休業等給付について|厚生労働省

まとめ

男性の育児休業制度は、近年の法改正によって大きく変化し、以前よりも柔軟かつ分割取得しやすい仕組みへと整備されています。現在は、「産後パパ育休」「通常の育児休業」「育休延長」「パパ・ママ育休プラス」などを組み合わせることで、家庭の状況や働き方に応じた取得が可能です。

人事担当者としては、制度ごとの特徴や取得期間、申請期限などを正しく理解し、社員が育児と仕事を両立できるよう支援することが重要です。特に、令和7年4月以降は育児休業給付の延長要件が厳格化されているため、最新ルールを踏まえた対応が求められます。

また、制度の柔軟性を活かすことは、従業員のワークライフバランス向上だけでなく、企業としてのダイバーシティ推進や働きやすい職場づくりにもつながります。この機会に、育児休業の申請・取得に関する社内フローや社員への周知方法についても、あらためて見直してみてはいかがでしょうか。

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