2025年4月より、複数の事業場を持つ企業にとって重要な、就業規則や36協定などの本社一括届出に関する通道が出され、新たな届出方法が拡充されました。これにより、届出手続きの方法が増え、企業の事務負担が軽減されることが期待されています。
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本社一括届出とは
本社一括届出とは、支店や営業所など複数の事業場を管理する企業が、就業規則や36協定といった労作経緯に関わる定めを、本社の所在地を管輪する労働基準監督所へ一括して届出できる制度です。
就業規則や36協定などの労使協定に関する手続きは、各事業場ごとにその事業場を管轄する労働基準監督署へ個別に届出を行うのが原則です。ただし、企業の事務負担の軽減を目的として、一定の要件を満たす場合には、本社を管轄する労働基準監督署への本社一括届出が認められています。
2025年4月、労働条件ポータルサイトを利用する方法が追加された
これまでは、就業規則や36協定に関する本社一括届出の方法は、書面等またはe-Govからの電子申請の大きく2つに限られていました(1年単位の変形労働時間制に関する届出は電子申請のみ)。
しかし、2025年4月からは、労働条件ポータルサイト「確かめよう 労働条件」からの電子申請による方法が新たに追加されました。
この労働条件ポータルサイトを利用する場合、従来の本社一括届出よりも要件が緩和されています。
就業規則や36協定等の内容が本社と異なる場合でも一括届出が可能に
従来、書面やe-Govによる本社一括届出を行う場合には、本社と各事業場の就業規則や36協定の内容が同一であることが要件となっていました。これは、本社管轄の労基署への負担集中を回避するためのものです。
しかし、労働条件ポータルサイトを利用する場合、本社と各事業場との就業規則や36協定等の内容が同一である場合はもちろん、異なる場合でも一括届出が可能となりました。
つまり、各事業場の就業規則や36協定等の内容が同一であれば、それが本社と異なる場合でも、内容が同一である複数の事業場については、一括して届出を行うことができるようになったのです。
例えば、本社と事業場Aの就業規則が同一であり、事業場Bと事業場Cの就業規則が同一である場合は、本社とAのみの届出を一括で行うことも、本社とA、BとCそれぞれを一括届出することも可能です。
なお、本社と内容の異なる事業場を単独で届出することも可能です。
労働条件ポータルサイトによる一括届出が可能な届出
ただし、労働条件ポータルサイトを利用した一括届出が可能となる手続きは、すべての届出に広がったわけではありません。
2025年4月時点では、以下の3つの届出に限られています。
- 就業規則
- 36協定(一般条項・特別条項・新技術・新商品の研究開発業務)
- 一年単位の変形労働時間制に関する協定
一方で、1か月単位の変形労働時間制に関する協定や、フレックスタイム制における労使協定などは、今回の拡充の対象外となっています。
とはいえ、厚生労働省は企業の事務負担の軽減を積極的に進めているため、今後これらの手続きについても、同様に労働条件ポータルサイトからの一括届出が可能になると考えられます。
まとめ
2025年4月から、本社一括届出の手続き方法に労働条件ポータルサイトが加わったことにより、企業の事務作業はさらに効率化される方向に進んでいます。
特に、就業規則や36協定の内容が本社と異なる場合でも一括届出が可能になったことは、大企業の人事担当者にとって非常に大きなメリットとなります。
今後も、労働関係手続きの電子化・効率化が一層進む見込みです。企業としては、こうした制度変更を把握して、速やかに対応できる体制を整えることが必要です。
参考:https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T250424K0010.pdf
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T250424K0020.pdf
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T250424K0030.pdf
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