2025年度(令和7年)|地域別最低賃金額の目安が全国平均1118円(63円増)

2025年8月4日、第71回中央最低賃金審議会が開催され、2025年度(令和7年度)の地域別最低賃金額改定の目安が公表されました。今回の改定目安は、全国的に大幅な引上げが示されており、仮に目安通りに改定された場合、全国加重平均は1,118円(63円増)となります。

昨年度の上昇額51円を上回る63円の増加は、昭和53年度に目安制度が始まって以来、最大の引上げ幅となります。

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目次

改定の目安とランク分け

審議会は、都道府県の経済実態に応じて全国をA・B・Cの3ランクに分類し、それぞれ引上げ額の目安を示しています。2025年度は、Aランクが埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪の6都府県で、引上げ目安は63円。Bランクは北海道、宮城、福島、茨城など28道県で、こちらも63円の引上げです。そしてCランクは青森、秋田、沖縄など13県で、引上げ目安は64円となっています。

  • Aランク(埼玉・千葉・東京・神奈川・愛知・大阪):63円引上げ
  • Bランク(北海道、新潟、福岡など28道県):63円引上げ
  • Cランク(青森・秋田・沖縄など13県):64円引上げ

これらの目安をもとに、各地方最低賃金審議会が地域の賃金実態や参考人の意見などを踏まえた審議を行い、その結果を受けて都道府県労働局長が正式な最低賃金額を決定します。

都道府県別 引上げ目安一覧

都道府県2024年度最低賃金(円)引上げ目安(円)2025年度目安(円)
北海道1,010631,073
青森953641,017
岩手952641,016
宮城973631,036
秋田951641,015
山形955641,019
福島955631,018
茨城1,005631,068
栃木1,004631,067
群馬985631,048
埼玉1,078631,141
千葉1,076631,139
東京1,163631,226
神奈川1,162631,225
新潟985631,048
富山998631,061
石川984631,047
福井984631,047
山梨988631,051
長野998631,061
岐阜1,001631,064
静岡1,034631,097
愛知1,077631,140
三重1,023631,086
滋賀1,017631,080
京都1,058631,121
大阪1,114631,177
兵庫1,052631,115
奈良986631,049
和歌山980631,043
鳥取957641,021
島根962631,025
岡山982631,045
広島1,020631,083
山口979631,042
徳島980631,043
香川970631,033
愛媛956631,019
高知952641,016
福岡992631,055
佐賀956641,020
長崎953641,017
熊本952641,016
大分954641,018
宮崎952641,016
鹿児島953641,017
沖縄952641,016

地域別最低賃金の適用時期と今後の流れ

例年、最低賃金の改定は10月頃から順次適用されます。

2024年度は10月1日から10月27日の間に施行されましたが、近年は地域の実情を踏まえた柔軟な発効が望ましいとの意見も出ています。そのため、2025年度の適用開始日も地域ごとに異なる可能性があります。各都道府県労働局の正式決定を待ちつつ、早めの準備が必要です。

最低賃金引上げと社会保険加入の影響

最低賃金の引上げは、単に時給額の見直しにとどまらず、社会保険の加入対象者の増加にもつながる可能性があります。特にパートやアルバイトなど短時間労働者の場合、時給の上昇によって月額報酬が社会保険加入要件(例:月額8.8万円以上など)を満たすケースが増えることが予想されます。

一方、社会保険の加入を避けるために、本人が労働時間を減らすといった選択をするケースもあり得ます。こうした場合、店舗や事業所としては人員不足を補うため、他の従業員の労働時間延長や追加採用が必要になる可能性があります。

人事・労務の担当者としては、

  • 該当する短時間労働者の把握
  • 社会保険加入によるコスト増の見積もり
  • 労働時間調整の影響シミュレーション

などを行い、早めに人員体制の整備を進めておくことが重要です。

まとめ

2025年度の最低賃金改定は、過去最大規模の引上げとなる見通しです。全国的に時給1,000円を超える地域が広がり、企業には給与体系や雇用管理の見直しが求められます。特に人事担当者は、賃金改定だけでなく社会保険加入要件やシフト調整といった実務面への影響も見据え、早めに準備を進めることが求められます。

適正な労務管理を行いながら、従業員の働きやすさと企業の持続的な成長の両立を図っていくことが、今後ますます重要になるでしょう。

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