厚労省が「高年齢者の労働災害防止のための指針」を公示

2月10日、厚生労働省は「高年齢者の労働災害防止のための指針」を公示しました。この指針は労働安全衛生法に基づき、高年齢者の身体機能の変化などを踏まえた安全対策を企業に促すもので、高年齢者が安全かつ安心して働き続けることができる職場環境の整備を目的としています。

厚生労働省:「高年齢者の労働災害防止のための指針」について (公示)

背景には、労働力人口の高齢化があります。定年延長や継続雇用制度の普及により、高年齢者が企業で働き続けるケースは増えています。一方で、加齢に伴い筋力やバランス能力、視覚や聴覚などの身体機能が低下することで、転倒や腰痛、熱中症などの労働災害のリスクが高まる傾向があります。このため、従来の安全対策に加え、高年齢者の特性を踏まえた新たな安全管理の必要性が高まっていました。

指針では、事業者が取り組むべき対策として、安全衛生管理体制の整備やリスクアセスメントの実施、職場環境の改善、健康や体力の状況の把握、個々の状態に応じた業務管理、安全衛生教育の実施などが示されています。

具体的には、段差の解消や手すりの設置、滑りにくい床材の採用、照度の確保、重量物の取扱いを補助する機器の導入など、高年齢者の身体機能の低下を補う職場環境の整備が重要とされています。また、健康診断の確実な実施に加え、体力チェックなどを通じて個々の労働者の状態を把握し、その状況に応じて業務内容や労働時間を見直すことも求められています。

さらに、再雇用や再就職により新たな業務に従事する高年齢者に対しては、十分な安全衛生教育を行うことの重要性も示されています。加えて、管理監督者や同僚を含め、職場全体で高年齢者の特性を理解し、安全に配慮した職場運営を行うことが労働災害の防止につながるとされています。

今回の指針は企業に対して法的な義務を直接課すものではありません。ですが、人事・労務担当者としては、高年齢者の増加を前提に、職場環境や業務内容、安全教育のあり方を見直す良い機会になるかもしれません。特に、再雇用者の配置や業務設計においては、経験だけでなく身体機能の変化も踏まえたリスク評価を行い、安全に働ける環境を整備することが重要になります。

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