令和7年6月13日、年金制度改正法(「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」)が成立しました。改正内容の1つとして、短時間労働者の社会保険料について、事業主が法定割合を超えて負担できる「保険料調整制度」が創設され、令和8年10月から施行される予定です。今回、この制度の具体的な運用ルールに関するパブリックコメントが公表されました。
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【参考資料】厚生労働省「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の一部の施行に伴う経過措置に関する省令案について(概要)」
今回の制度では、企業規模要件の見直しなどにより新たに社会保険の適用対象となる労働者について、厚生年金保険料および健康保険料を企業側が法定の労使折半割合を超えて追加負担することが可能になります。本来、社会保険料は事業主と従業員が50%ずつ負担する仕組みですが、この経過措置により、3年間は企業が従業員負担分の一部を肩代わりできるようになります。事業主が追加で負担した部分については、本人から徴収を要しなかったものとして取り扱われる仕組みです。

背景には、短時間労働者への社会保険適用拡大があります。社会保険加入によって、将来的な年金給付や医療保障の充実が期待される一方で、保険料負担による手取り減少への懸念から、就業調整が発生する、いわゆる「106万円の壁」の問題が指摘されてきました。今回の措置は、企業側が社会保険料を追加負担することで本人負担を軽減し、被用者保険への円滑な移行を促す狙いがあるとみられます。
今回公表されたパブリックコメントでは、この制度を利用する際の手続き等、具体的な運用ルールが定められています。事業主が日本年金機構へ申出書を提出することや、適用停止解除時の届出手続きなどが定められており、健康保険組合に加入している事業所については、健康保険組合への提出も必要になるとされています。
また、短時間被保険者の資格取得・資格喪失や、届出の遅延などによって保険料負担割合に変更が生じる場合には、追加の届出義務が発生することも盛り込まれています。制度を導入する場合、通常の社会保険実務に加え、この制度特有の管理対応が求められることになります。
施行時期は令和8年10月1日が予定されており、公布は令和8年6月上旬とされています。今後、詳細な政省令や実務運用の整理が進められる見込みです。
短時間労働者を多く雇用する企業では、制度対応に向けて、対象者への周知方法や給与システム対応、労務管理フローの見直しなど、実務面での準備が重要になりそうです。

