令和7年(2025年)8月7日、人事院は国家公務員の通勤手当の支給水準を見直す内容が盛り込まれた「令和7年人事院勧告」を発表しました。通勤手当の見直しについて、具体的な内容は下記のとおりです。
- 自動車等使用者について、65㎞以上から100㎞以上までの区分(5㎞刻み)を新設(上限66,400円)
- 現行の「60㎞以上」までの距離区分についても、民間の支給状況等を踏まえ、200円から7,100円までの幅で引上げ
- 1か月当たり5,000円を上限とする駐車場等の利用に対する通勤手当を新設
(引用:「令和7年人事院勧告・報告の概要」https://www.jinji.go.jp/content/000011723.pdf)
施行時期については、距離区分の新設(①)および駐車場手当の新設(③)は2026年4月から実施される予定である一方、既存区分の引き上げ(②)については2025年4月からの実施とされています。
このため、民間企業における通勤手当の非課税限度額も、2025年4月に遡って変更される可能性があります。この点について国税庁では、通勤手当に係る所得税の非課税限度額について、今後の法改正が行われた場合には、年末調整時における対応が必要になると指摘しています。(国税庁HP:https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/index.htm)
通勤手当の支給額や通勤経路に関する情報は、年末調整や源泉徴収の処理に直結する項目であるため、人事・給与担当者は早めの確認と準備が求められます。
また、就業規則等で通勤手当の上限を「非課税限度額の範囲内」としている企業においては、今回の非課税限度額の引き上げに伴い支給額が増える可能性があります。その場合、標準報酬月額や社会保険料の再計算が必要となるケースも想定されるため、あわせて注意が必要です。
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